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第57話 羨ましいと思った

Auteur: るるね
last update Date de publication: 2026-03-26 23:22:18

 一条は高校時代、「性格は最悪だが、顔だけはやたらと整っている」という評判がつきまとっていた。

 いつ誰が言い出したのかは定かではない。

 ただ、彼を「性格が悪い」と言い張る者も、彼が人前で感情を爆発させて怒鳴った場面を見たことはなく、同級生をいじめた証拠を示せるわけでもなかった。にもかかわらず、ある時期その噂はひどく広まり、一条のいないところでは、クラスの中でたびたび話題に上ることもあった。

当の一条本人はといえば、自分の評判などほとんど気にしていなかった。それどころか、無駄に話しかけてくる人間が減ったことを、むしろ都合よく感じていたくらいである。

 ただ、陽菜はその噂をすっかり信じてしまっていたらしい。

 何度か一条がわざと鷹宮を連れて彼女に声をかけに行ったことがあったが、そのたびに陽菜は驚いた小動物のように身を強ばらせ、決まりきった一言を早口で返すと、すぐに用事を思い出したふりをして逃げてしまうのだった。

 その臆病で怯えた様子が、長いあいだ一条の興味を引き続けていた。

 だが、高校二年で鷹宮とクラスが別れてからは、彼も次第にその興味を抑えるようになっていく。

 もっとも、一条
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